東京都美術館で開催されている『ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢』に行ってきました。
ずいぶん前に読んだ原田マハさんの小説『たゆたえども沈まず』。フィクションでありながら、ゴッホや弟テオ、そして彼らを支えた人々が実名で登場します。史実に基づく部分も多く、孤高の画家ゴッホの情熱と苦悩、そして家族の深い絆に心を揺さぶられたのを覚えています。
今回の展覧会では、その小説の世界がまるで現実になったような感覚に。ゴッホの壮絶な人生をたどりながら、彼の夢を受け継ぎ、未来へとつないだ家族の姿に思いをめぐらせました。

『ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢』とは
今回の展覧会は、ゴッホの生涯をたどるだけでなく、彼の死後、その作品を守り続けた家族の存在に光を当てたものです。
展示は時代順に構成され、初期の暗い色調の作品から、南仏アルルで描かれた明るく力強い色彩の絵まで。画家としての成長とともに、心の揺れ動きが伝わってきます。
とくに印象的なのは、作品の背景にある“人とのつながり”。「天才」や「孤独」といった言葉で語られがちなゴッホですが、実際には常に誰かを思い、支えられながら生きていたことを感じさせてくれます。
作品の撮影はNGだったのですが、イマーシブ映像は撮影できました。



ゴッホの生涯と、支え続けた家族の存在
ゴッホが本格的に絵を描き始めたのは27歳の頃。画家として活動したのはわずか10年ほどでした。
生前に売れた絵は一枚ともいわれ、貧しさや孤独に苦しんだ日々。それでも絵を描くことを止めなかったのは、弟テオの存在があったからです。
ゴッホを支えた弟テオの手紙
兄を信じ、経済的にも精神的にも支え続けたテオ。二人が交わした手紙には、お互いを思う温かな言葉がたくさん残されています。そこには、ただの兄弟愛を超えた“同志”のような強いつながりを感じます。
テオの妻ヨーがつないだ、ゴッホの「夢」
ゴッホが37歳で亡くなり、まもなくテオも後を追うようにこの世を去りました。しかし、テオの妻ヨーが二人の遺志を継ぎ、ゴッホの作品を整理し、展覧会を開き、世に広めていきます。
彼女の情熱がなければ、私たちは今日ゴッホの名を知らなかったかもしれません。まさに「家族がつないだ画家の夢」という言葉の通りです。
原田マハさんの小説『たゆたえども沈まず』が教えてくれること
原田マハさんの小説『たゆたえども沈まず』は、まさにこのゴッホとテオの絆を軸にした物語。史実をベースにしながらも、まるで一本の映画のように感情が動いていく作品です。
絵を描くことに人生をかけたゴッホ、
兄を支えることを自らの使命としたテオ。
そして、彼らを見守る人々――。
芸術の裏には、いつも“人の物語”がある。この小説を読むと、そんなことが胸に深く響きます。
原田マハさんのゴッホに関する書籍は、物販コーナーに置いてありました。

おわりに──絵の向こうに見えた家族の物語
ゴッホの絵は、鮮やかな色と力強い筆づかいが印象的ですが、その奥には、人を思う優しさが宿っていました。そして、それを未来へと届けてくれた家族の愛情もまた、私たちの心を揺さぶります。
「夢を信じ続ける力」――それこそが、ゴッホの作品が今も人の心を動かし続ける理由かもしれません。
原田マハさんの小説をもう一度読み返したい。そんな思いになりました。
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