映画「国宝」二度目の鑑賞。深まる”映画”としての魅力

映画「国宝」、二度目はTOHOシネマズ日比谷のプレミアムシアターで。
スクリーンの大きさ、音響の迫力、劇場全体が舞台のように感じられる空間は、最高でした!

そして、一度目はただただ「すごい映画を観た」という衝撃に包まれましたが、二度目は登場人物の“生きる姿”が、より深く心に響いてきました。

印象に残るシーンはたくさんありますが、特に映像の美しさと、演じる役者さんの魂に圧倒された3つのシーンを振り返ってみたいと思います。

※ネタバレがありますので、まだ鑑賞されていない方はご注意ください。

美しさと魂に圧倒されたシーン

1.喜久雄の運命が動き出す、美しく、壮絶な、父との別れ

任侠一門の新年会に訪れた、歌舞伎の名門当主・ 花井 半二郎(渡辺 謙)は、女形を演じる少年・喜久雄(黒川 想矢)に目を奪われる。

その直後、雪が舞いおちるなか、喜久雄の父・立花組組長(永瀬 正敏)は抗争の末に命を落とす。

冒頭から衝撃的でした。そのときの、喜久雄、父、花井 半二郎、それぞれの”目”が忘れられません。あの場面は、まさに喜久雄の運命が動き出す象徴的な瞬間。

スクリーンに広がる美しい雪の世界と、三人の表情の陰影が、ただの「映像」ではなく、運命につき動かされる、言葉では言いあらわせない「空気」として伝わってきました。

渡辺 謙さん、永瀬 正敏さんの存在感はすごい。さすがです!
でも、この場面で一番印象に残るのは、喜久雄の少年期を演じた黒川 想矢さん。

友人と戯れる子どもらしさ、親を失う悲しみと怒り、そして吉沢 亮が演じる青年期の喜久雄に成長していく過程を見事に演じています。

2.喜久雄と俊介の運命が大きく変わる「曽根崎心中」

任侠の一門に生まれながら、”芸”の才能を持つ喜久雄(吉沢 亮)。
歌舞伎の名門御曹司として生まれ、”血”に守られている俊介(横浜 流星)。

俊介の父・花井 半二郎が自身の代役として選んだのは、俊介ではなく喜久雄。

舞台にあがる前、”血”を持たないことに震える喜久雄に、「芸があるやないか」と言う俊介。
”憎みたいのに、憎みきれない”ーーそんな俊介の優しさと、二人の絆に切なくなります。

そして、喜久雄が演じた「曽根崎心中」。
その美しい姿、感情あふれる見事なせりふの言い回し。
まるで観客席にいるような錯覚をおぼえ、心が震えました。

一方、俊介は喜久雄の舞台を最後まで見届けずに席をたち、姿を消してしまう。
二人の運命が大きく変わる瞬間。

この後も二人の人生は浮き沈みが続きますが、愛憎が交錯する二人を、吉沢 亮さんと横浜 流星さんが見事に演じきっています。

3.”国宝”になった喜久雄が演じるラストの「鷺娘」

喜久雄が最後に演じる「鷺娘」は、まさに圧巻!
ただ美しいだけではなく、哀しみ、怒り、執念、あらゆる感情を宿しているように感じました。

そして、衝撃を感じるような音響。感情が一気に高まり、胸が熱くなります。

最後は静寂ーーそして、人間国宝となった喜久雄がみた景色。

このラストシーンの余韻が続くなか、井口 理さんの降りそそぐような歌声。
言葉にできない感情がわきあがる、素晴らしいエンディングでした!

「国宝」を映画館で鑑賞することの意味

映画「国宝」は、ただ観る映画ではなく、“浸る”映画。

大きなスクリーンで、しかもできるだけ静かな空間で集中して観ると、役者の所作、声の響き、目線の意味、そして舞台の空気が、確かにこちらにも届いてくる。

そんな体験ができる映画館は、“もうひとつの劇場”なのかもしれません。

一度目の鑑賞で感じたことは… 映画「国宝」公開初日に鑑賞しました


映画の原作は、吉田修一さんの小説「国宝」。
映像化は難しいと言われていたのに、このようなすごい作品がうまれた!
監督の李 相日さん、主演の吉沢 亮さんをはじめ、この映画にかかわったすべての方にリスペクトしかありません。

原作は映画とはまた違った感動に包まれそう。これからじっくり読みたいと思います。

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