映画「宝島」を観て ― 沖縄の真実と向き合う191分

2025年、戦後80周年の節目に公開された映画「宝島」。

観光地としての沖縄しか訪れたことのなかった私にとって、この映画は「もうひとつの沖縄の姿」を鮮烈に伝えてくれる作品でした。スクリーンに映し出される191分の物語は、目をそらせない真実に満ちています。

映画宝島パンフレット

アメリカ統治下の沖縄を描いた映画

映画「宝島」は、アメリカ統治下にあった沖縄の真実を、フィクションを交えて描いた作品です。

プロジェクトの始動は2018年。当初は沖縄の本土復帰50周年にあたる2022年の公開を目指していたそうですが、コロナ禍の影響で二度の延期に…。そして今年、戦後80周年という節目の年に、ついに公開されました。


登場人物とあらすじ

舞台は戦後の沖縄。米軍基地に侵入して食料や物資を盗み、住民に分け与えた若者たちは「戦果アギヤ―」と呼ばれていました。

幼なじみのグスク(妻夫木聡)、ヤマコ(広瀬すず)、レイ(窪田正孝)は、いつか「でっかい戦果」を上げることを夢見ています。そして彼らにとって英雄的存在、戦果アギヤ―のリーダーがオン(永山瑛太)。

物語はこの4人を軸に動いていきます。ある夜、米軍基地に侵入したオンが突然姿を消し、残された3人はそれぞれの道を歩みながらオンの消息を追い求めます。グスクは刑事に、ヤマコは教師に、レイはヤクザに。立場も価値観も違う3人は、時に衝突しながらも「オンを探す」という思いでつながっています。そして物語の最後に、衝撃の真実が明らかに。


映画を観て感じたこと

上映時間は191分の長尺でしたが、スクリーンから伝わる熱量が圧倒的で、一瞬たりとも目が離せませんでした。

沖縄の真実を突きつけられる

沖縄という場所は、観光で訪れると「きれいな海を楽しめる場所」という印象が強いですが、この映画を通して、そこに刻まれた重い歴史をあらためて意識させられました。今まで漠然としか想像できなかったことが、現実の出来事として突きつけられるような感覚です。

戦後の混沌とした時代を懸命に生きる主人公たち。希望が見えた矢先に不運が襲うシーンは胸が痛みましたが、それでも生き抜こうとする姿に心を揺さぶられました。

熱い思いが伝わる、迫力ある演技

妻夫木聡さん、広瀬すずさん、窪田正孝さん、永山瑛太さんの4人は、この作品にすべてを注ぎ込んでいると感じられるほどの熱演。スクリーン越しに彼らの熱い思いが伝わってきます。この4人の演技をみるだけでも、この映画を鑑賞する意味はあると思うほどです。

4人以外のキャストやエキストラの演技も見事でした。特に終盤のゴザ暴動のシーンは圧巻。沖縄の人たちが抑え込んでいた怒りの爆発に圧倒されるとともに、その怒りの大きさに心が痛みました。

もっと沖縄のことを知りたくなる

この映画を通して、戦後の沖縄に生きる人々の苦しみ、悲しみ、怒り、そしてそれでも諦めずに希望を持ち続ける勇気に感動しました。

観終わった今、「もっと沖縄のことを知りたい」という思いが強く心に残りました。


鑑賞前に目にしたレビューには、「方言がわかりづらい」「191分は長すぎる」といったものもありました。鑑賞するかどうかちょっと迷ったのも事実です。

でも、鑑賞してよかった!

方言がわかりづらいのは確か。でも、言葉がわからなくても伝わってくるものがあります。191分という時間も長く感じませんでした。

映画「宝島」は、沖縄の美しい海の向こうに隠された歴史を教えてくれる作品。観光では見えない「真実」に触れたことで、これから沖縄を訪れるときの目線もきっと変わると思います。


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